前回の続き どうやって納得してもらうか。

今日、教育主任のベトナム人の先生に「今度からクラスの全員がみんなの日本語練習Bをきちんと言えるようになってから、会話に進みます」と伝えましたが、なかなか納得してもらえませんでした。

 

1)練習Bはベトナム人の先生がすでにチェックしている。

 

2)ベトナム人の先生も忙しく練習Bに時間をかけられない。

 

3)会話がないと楽しくない。

 

4)練習Bに時間を使うと聴解の時間がなくなる。

 

理想は学生が家でしっかり練習することですが、ベトナム人学生はspeaking 練習があまり好きではないようです。

 

⑴の問題について、文が合っているかどうかチェックするのではなく、使えるようにしなければ意味がないこと

 

⑵会話の時間を減らし、ベトナム人の先生の代わりに日本人がチェックすること。

(本末転倒だと思われるかもしれませんが、会話授業の間、苦手な子はほとんど口を動かしません。できないことをやらせると結局、余計に時間を使ってしまいます)

 

⑶練習の重要性を学生に伝えることが目的であること。練習が習慣化するまでは会話より基礎を大事にしたほうがいいこと

 

⑷練習を通じて正しい発音を身に付けるのを優先したほうがいいこと

 

これらのことを伝えると、結局私の意見が通りましたがお互いに納得できたとは言えませんでした。

 

ベテランの先生ならゲームを通じて楽しく日本語を身につけさせることができると思うんですが、私はなかなか思う通りに行きません。

 

どうやって担任の先生に納得してもらうか

今勤めている学校では、1クラスにつき、毎月一回の会話テストを行なっています。

 

1クラスが20人前後で、以前は一問一答形式でテストをしていたのですが、合格レベルに達している(一回で質問を聞き取れる)学生は一人か二人しかいませんでした。つまり9割は不合格なのですが、そうなると評価するどころじゃありません。ベトナム人の先生に「テストの結果はどうでしたか」と聞かれて「答えられたのは一人だけだよ」と素直に言うと担任のベトナム人の先生は非常にがっかりします。

 

この形式のテストでは学生がしっかり言葉を覚えていなければ、絶対に聞き取れません。

そこで学生にしっかり練習させる必要があるのですが、学生はたいてい練習を嫌がります。

一回教科書を読んで満足してしまう学生が多く、隣できちんと見てやらないと、すぐに手を抜いてしまいます。

 

練習の重要性を教えたいのですが、これまではスケジュールが優先され、結局練習は疎かにされたまま次の課に進んでいきます。

 

練習していないのに本番の会話テストで話せるわけもなく、また不合格になっても何のペナルティもなく卒業まで行けるため、学生も会話テストを欠席したり、不合格でもいいと開き直ってしまっています。

 

大事なのは基礎を作ることだと思っています。

だからベトナム人の担任の先生に「今日は第8課の会話を教えてください」と言われても「その前の第7課がまだできていないから、前回の復習から始めます」と断ることにしました。

 

もちろん、こんなやり方は普通だったらクビにさせられるでしょう。日本人教師が不足しているベトナムだからこそ、許されるんだと思います。

 

ただ、他人に言われたとおりやってきても結果が出なかったのは事実です。

担任の先生と話し合い、お互い納得して、妥協できるところは譲って、信頼関係を築いていきたいと思います。

 

会話は基礎が出来てから

はじめてベトナムに来たとき、ベトナム人の担任の先生からは「会話を教えてください」と言われ、試行錯誤してきました。

日本に住んでいれば実践の中で上達していきますが、ベトナム国内にいる限り、発話の機会は限られています。

だから、練習は徹底して取り組んだほうがいいです。

ベトナム人学習者のいいところは、教師に対する信頼が強いことです。

でも、自分を律して学習に取り組む能力は高いとは言えません。

私のところでは「みんなの日本語」という教科書を使っていますが、文法はベトナム人の先生が教え、会話は日本人が教えることになっています。

でも、ほとんどの人は文法を習った後の練習をしません。何回も反復して上手くなるのに、ひどい場合は問題を解くのと同じで、紙に書くだけで練習さえしていないクラスがあります。

 

そういうときはストップウォッチを使って、何度も練習させます。

ある程度できたら会話に進み、翌週きちんと言えるようになっているか20分ほど使って確認します。

 

ひとつ出来てから次へ、という流れを作らないかぎり、話せるようにならないと思います。

 

字のクオリティを落とさないこと

ベトナム人学習者の場合、ひらがなの「い、れ、す」などが癖字になりやすいみたいです。

とくに「い」と「じ」、「す」と「よ」が似ています。

 

音読させてみると、「してしまいます」を「していまいます」と読んだりします。

 

また、「し」と「こ」がくっついて「に」という字になっているときがあるので、拍を覚えさせて一音ずつ発声させる練習をしています。

 

書くときにも左手でノートを抑えて、しっかりした姿勢で書くように指導したほうがいいです。

親や小学校の先生が書き方を指導していないんでしょうか。よくノートではなく、プリントの裏とかに書いている学生を見かけます。

 

丁寧な字を心がければ、見やすいだけでなく、漢字を覚えるのにも役立ちます。

ですから、教師の側も漢字の書き順を間違えないように日頃からしっかり練習しておくことが大切だと思います。

これまでの教え方と結果

ベトナムでは現在、雨後の筍のように日本語学校が作られています。

その中で私が勤めている日本語学校は明らかに学生のレベルが低いです。

いろいろな本を読みました。日本語教育教育心理学、日本の歴史や文化。でも、現場で向き合ってみて、本に書いてあることが正しいわけではないとわかりました。

 ある本では頻繁に会話を修正したら、自信がなくなって話せなくなると書いてありました。

 でも、正確な発音が1番大事です。

拍を教えてから、アクセントを教えないと、正しいアクセントは身につきません。

 

設立されてからわずか三年の学校に赴任してきて、まず初めに「会話を教えてください」と頼まれました。

 最初は学生からの質問もいっぱいありますが、後からだんだん発言が少なくなってきます。

 理由はおそらく言葉を覚えてないからです。

 正確でなめらかな発音をしようと考える人はあまりいません。

 私たちもどうやって発音指導したらいいか、実はあまりわかっていません。いつも手探りで、計画的に教えるためのカリキュラムさえできていません。

 

ノートの字も非常に汚いです。

ただ字を覚えただけで満足し、きれいな字を書こうという目的がないので、全然字の練習をしない。

 

これまで叱ったこともありませんでした。

書けといっても、学生は言葉がわからないのか全然書かない。注意して見ていないと、すぐサボります。作文を書かせても宿題にしてくると言って、その場で書き上げない。

私も次のクラスに入って教えないと行けないから、結局逃げ得になってしまいます。

 

この流れはすぐに断ち切らないといけません。

まずは正しい字を書くこと。

次にきれいな発音。

それから正確に文を作る練習。

そして話す練習をするべきだと思います。

 

学生は初めは会話を好みます。

勉強ができない子にとっても、会話だけは楽しいみたいです。

私も会話ができるなら、それでいいと思っていましたが、それは教育とは言えないですね。ただの遊び相手でしかない。それじゃ、ちっとも上手くならないんです。

 

明日から会話ではなく、しっかりした基礎を教えようと思います。

教育の差

今日は週末なので学生と遊びに行きました。

いっしょに喫茶店に入って、しばらくすると隣の席に5人くらい男の人たちが座って、ときどき日本語で話しているのが聞こえました。

 私はそのとき学生にベトナム語を習っていたんですが、なかなか上手に発音できないのを見かねて、隣の席の人がアドバイスをくれました。

 それから打ち解けていろいろ話を聞くと、日本語の勉強をはじめてまだ4ヶ月だそうです。

 ええ、うちのセンターの学生より明らかに上手なんですが、どうして?

理由はいろいろあるんでしょうけど、うちのセンターとの大きな違いは3つ。

 1分でも遅刻したら教室に入れてもらえない。

 毎日10時間勉強する。

日本人の先生が多い。

 

うちのセンターでは学生は来たり来なかったりで、会話テストのときも明らかに参加者が少ない。担任の先生に理由を聞くと、自信がないから来ないんだそうです。

ベトナム人の先生はそれを容認しているから罰則もないし、追試もない。

問題点が多いのはわかっているんですが職員会議はほかの先生が嫌がるので無理。

結局、教え方が悪いんでしょうね。

 やっぱり日本人教師として、まず同僚の意識改革からしないといけませんね。

 

 

Teacher’s day

ベトナムでは11月20日は教師の日です。

今年もすてきなプレゼントをもらいました。

今年はたくさんの花束や果物のほかに水色のチェックのシャツと紺色のシャツ、それからヘッドレスト、コップ、ボールペンなどをいただきました。

ベトナムの学生はあまりお金がないので、うれしい反面、お金を使わせてしまって申し訳ないなと思います。

 お礼がわりに彼らにわかりやすく楽しい授業をしてあげなくてはいけないと思います。